中国で、「Moto Z 2018」なる機種が発表されました。「Moto Z2 Force」と同等の機種で、本体色や付属品、ソフトウェアなどが中国市場向けに変更されたモデルです。
「Moto Z 2018」のスペック
SoC: Snapdragon 835
RAM: 6GB
ROM: 128GB
ディスプレイ: 5.5インチ 2560×1440(WQHD) POLED
バッテリー: 2730mAh
アウトカメラ: 約1200万画素(カラー) + 約1200万画素(モノクロ)
インカメラ: 約500万画素
カードスロット: nano SIM x2, microSDXC
外部端子: USB Type-C, Moto Mods専用端子
OS: Android 7.1.1
通信方式: LTE/W-CDMA/TD-SCDMA/CDMA2000/GSM
LTEバンド: Band 1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/26/28/34/38/39/40/41
基本的にMoto Z2 Forceの上位モデルと同等の構成です。通信周りはTD-SCDMAやCDMA2000にも対応するなど中国モデルらしい仕様ですね。LTEの対応バンドはかなり豊富です。
「Moto Z 2018」について
「Moto Z 2018」本体の外観はほぼ「Moto Z2 Force」の”Super Black”そのもので、背面のヘアライン加工も同様に施されていますが、背面のMotorolaロゴが金色になっているのが外見上で見分けのつくポイントです。
UIは他の中国向け2017年モデルと同様、「ZUI」を採用しています。
高級感を演出する狙いか、通常の青を基調としたものではなくロック画面の画像や壁紙、アイコンなど金をイメージしたカラーで統一されているようですね。
「45周年記念モデル」という側面もあり、1973年のMotorolaによる世界初の携帯電話の開発を祝っているようです。
この機種を語る上で、価格の話は外せません。
ここまで書いてきた通り「Moto Z2 Force」の1バリエーションと言える内容の機種なのですが、なんと価格は9,999元、日本円にして約17万円です。
他地域向けの「Moto Z2 Force」の倍近い価格で目を疑ってしまいますが、その分、特典が充実しているようです。
バッテリーModsと無接点充電対応版のStyle Shell、レザーケース、Type-C接続のイヤホン、VIPサービスカードと45周年記念冊子などが本体とともに専用の高級感あふれるボックスに収められているとのこと。
「Moto Z 2018」は、現地では2017年11月9日 10:00に発売されます。
まとめ
率直な感想を言えば、「あらゆる意味で疑問を感じる機種」だと私は思います。
私見に過ぎませんが、あまりにもこの機種に対して腑に落ちないことが多いので分析してみました。ご興味のある方は一緒に考えてみてください。
まず、「Moto Z 2018」をエグゼクティブに向けた高級スマートフォンと捉えた場合の意見です。
Samsungの高級2つ折りスマートフォンやHuaweiのMateシリーズなど、この価格帯の富裕層向けスマートフォンというマーケットは確かに存在します。最近の機種で言えば、Mate 10のポルシェデザインモデルなど価格的だけを見れば近いですよね。
しかし、それらと比較した時に、元は799.99ドルのMoto Z2 Forceに付属品や箱、カラーなどで箔を付けただけに過ぎない9999元のスマートフォンはそれに見合う価値があるのでしょうか?
とてもそうは思えません、金色にして値段を上げれば高級機になると思っているならばその認識は余りにも古く、ターゲットとなる顧客層を馬鹿にした考え方だと個人的には思います。
そして、「Moto Z 2018」の紹介ページを見ると”45th”というワードもしばしば登場します。
45周年記念の小冊子が付属するというほどですから、Motorolaによる携帯電話誕生45周年を祝うモデルとも考えられているのでしょう。
では、そちらの観点で見れば納得の行くアニバーサリーモデルなのでしょうか。これも答えはNoです。
45周年記念モデルということが本旨なのであれば来年、2018年に発売されるべきですし、何より誕生の地である米国からのスタートではなく中国を起点に展開されていること自体が不自然です。
もし仮に、先に書いたようなエグゼクティブ向けの高級スマートフォンとしての箔を付けるために歴史を持ち出しているのであれば、これもやはり先人へのリスペクトや長年のファンに対する尊重が欠けた不愉快な要素かもしれません。
最後に、単に「中国版Moto Z2 Force」として見た場合の話です。
現状、中国向けのMoto Z2 Force相当の機種はこの理解に苦しむ高級志向の機種しかなく、中国市場では一般向けに広く販売されているMoto Mods対応機種がMoto Z2 Playか2016年モデルの在庫分という状態になります。
やはりMoto Modsに興味を持つようなコアなファン層となるとハイエンド機を求めるユーザーも多いでしょうし、Moto Modsの発展を考える上でもマイナスの要素ではないでしょうか。中国向けのMotorolaスマートフォン全体を見ても正当なハイエンド機が不在の状態になるのでユーザーの流出が起きそうに思えます。
単純に同じMotorolaファンとしての中国のMotorolaファンへの同情、というところもありますが、正当な価格帯でのMoto Z2 Forceの中国市場投入もあって欲しいところです。
もっとも、それを出してしまうと「Moto Z 2018」の化けの皮も剥がれてしまうことになるので難しいのかもしれませんが…。

だいぶ長々と不満を綴ってしまいましたがまとめると、内容を伴わない無謀な高級志向、”45周年”を振りかざしてのブランドの濫用など、少し今後のMotorolaの方向性に不安を感じる発表でした。
いずれにせよ、動向は見守りたいところですね。
Source: 公式サイト(中国)