OPhone 2.5搭載のQWERTYスマホ「MT620」レビュー

中国向けのMotorolaスマートフォン「MT620」を入手しました。
古いですが大変珍しい機種なのでレビューを残しておきます。


※本記事は、技術基準適合証明を取得していない端末の日本国内での利用を推奨するものではありません。

MT620について


MT620は中国移動(China Mobile)向けに開発された機種で、2011年3月31日に他のいくつかの中国市場向け端末とともに発表されました。

中国版のみ、かつキャリア版のみということ、そしてTD-SCDMA/GSMのみの対応という特殊さもあってか、日本国内でお目にかかることはほぼないかと思います。私も今回購入して初めて現物を見ることができました。

特徴的な背面のデザインやQWERTYキーボードを搭載していることも目を引きますが、この機種の最大の特徴はやはり、OSに「OPhone」を採用していることでしょう。

MT620のスペック表


スペックなどの詳細は上の記事をご覧ください。

OPhoneについて


多くの方がご存知でないと思いますので、「OPhone」についてもあらかじめ触れておきます。

「OPhone」というのは、かつて中国移動が作っていたAndroidベースの独自OSです。
別の言い方をすれば「OMS(Open Mobile System)」とも呼ばれていました。

最初のリリースは2009年8月なので、Android自体もまだまだ黎明期と言える頃ですね。

日本で言えばHT-03Aが発売されるよりも前、Motorolaもまだ最初のAndroidスマートフォン「CLIQ/DEXT(MB200)」すら発売していない時期に、「OPhone」は生まれました。

Googleサービスが排除されているのは今の中国市場のAndroid事情と同じですが、UIの変更・独自APIの追加やCMMB(日本で言えばワンセグのようなもの)への対応などのカスタマイズが施されています。

まだAndroid自体がどう成長して行くかも分からない時代に独自OSを仕立てた中国移動の大胆さには目を見張るものがありますが、残念ながら2011年4月リリースの「OPhone 2.5」を最後にその歴史は幕を閉じました。

搭載端末はいくつかのメーカーが製造しており、Motorolaもいくつかの機種を出しています。

今回入手した「MT620」はMotorola製のOPhoneとしては最後の機種、というよりOPhone自体としても末期の機種で、最終版にあたる「OPhone OS 2.5」を搭載しています。

Source:Wikipedia(英語版), ITpro

端末レビュー


ストレート型のQWERTYキーボード搭載スマートフォンで、キーボードはBlackBerryなどのように中央を境に左右に傾斜が付けられています。

その上には「メニュー」「ホーム」「戻る」「検索」のタッチキーが並んでいます。
この配置は当時のMotorolaスマートフォンでは一般的なものでした。

ベゼルは真っ黒ではなく銀色が入っていて、外側の枠の部分ほどではないもののキラキラと反射します。


キーボードはバックライト付き。
水色でなかなか可愛らしい色合いです。


背面は不揃いな石畳のようなデザインで、機械的ではない親しみやすさのある珍しいデザインだと思います。
China MobileとMotorolaのロゴが入っていますが、そのレイアウトもオシャレですね。


右側面の写真です。
上寄りに音量キー、下寄りにカメラキーがあります。


左側面の写真です。
上寄りにストラップホール、下寄りにmicro USB端子があります。


本体上部に電源キー(写真右)があります。

左側にもよく似たボタンがありますがこちらはリアカバーのロックのようなもので、押すとツメが外れてこの部分からリアカバーを開けることができます。


リアカバーを開けたところ。
SIMカードとmicroSDはバッテリーを外さなければ着脱できない構造です。

容量から予想はしていましたが、バッテリーはBP6X。
採用機種の多いバッテリーなので予備の入手には困らないでしょう。

中国キャリア専売の端末なので少々意外だったのですが、MT620はFCCの認証を通過しています。
FCC IDはIHDT56MC1で、上写真のようにバッテリー下にラベルも貼られていました。

だからどうということもないのですが、このおかげで認証のために公開されている情報から説明書が読めます。お時間のある方はぜひどうぞ。

リンク:FCCID.io


サイズ比較のために他のMotorolaスマートフォンと並べてみました。
左から、Moto X 1st(XT1052)、MT620、Moto X 2nd(XT1092)です。

それぞれ画面サイズ4.7インチ、5.2インチの両機種とならんでこの小ささなので、QWERTYキーボード付きのスマホというイメージからするとかなり小柄だと感じました。


ソフトウェアを見てみましょう。
ちなみにシステム言語は中国語・英語の2択なので、本記事では英語設定でご紹介します。


ブートアニメーションを動画に収めてみました。
最初にキャリア独自の画面が入っていますが、赤いMotorolaロゴが出るのみのシンプルな画面が続くのは同世代の機種と同様ですね。


OPhone OS 2.5はAndroid 2.2がベースです。
ロック画面はAndroidでも見覚えのある懐かしいものでした。
ステータスバーの並びが変わっている程度で、この時点では至って普通ですね。


ホーム画面。ドックのようなものはなく、ドロワーの左右には電話とSMSのショートカットが配置されています。
OPhone OS独自の仕様というわけではなく当時のMotorolaスマートフォンではよく見られた作りです。


通知領域にはタスクマネージャーが付いているのみとシンプル。
この頃のAndroid自体、設定トグルなどを標準では備えていなかったので自然でしょう。



プリインストールアプリの一覧です。

China Mobileの独自サービスのアプリも多いですが、英中辞書や株価、電子書籍リーダーなど様々な機能が揃っていました。

また、OPhoneと通常のAndroidの主な違いの1つでもありますが、Java MEアプリケーションが実行できることも見て取れます。

まとめ


先にも述べた通り、MT620はOPhone OSの最終版、「OPhone 2.5」がインストールされた端末です。
実際に触ってみて、思っていた以上に普通のAndroidに近い印象を受けました。

もちろん内部的には元となっているAndroid 2.2にはない部分が多々あるのですが、通常のユーザーが利用する上ではそう変わらないものだったのではないかと思います。

それもそのはずで、数少ない日本語のOPhoneについての文献を辿る限りでは、OMS最後のバージョンとなるOPhone 2.5はそれまでの物以上に通常のAndroidとの、そしてAndroidアプリとの完全な互換性を重視するという歩み寄りを見せているのです。

このバージョンを最後に消えていったのは、急速に普及する通常のAndroidに太刀打ちできなくなった、あるいは中国移動自身が自社のサービスを提供する上で最小限のカスタマイズを行えば十分だと判断したなどの理由で役目を終えたといったところでしょう。

大変貴重な、興味深い1台に触れることができ面白かったです。

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